テレビ会議システムのステレオ化実現に向けて



企業が多国籍化していく中で、インターネットを通じた"テレビ会議システム"が 登場した。 テレビ会議システム導入にかかる費用は決して安くはないが、あちこちに散らばっ ている社員を1ヵ所に集めるよりはずっと安いという[1] 。 テレビ会議システムに関してより詳しく知りたい方は、 平易な解説[2,3]をご参照されたい。 テレビ会議システムを行なう際に、音響エコー(スピーカーからマイクへの音の 回り込み)が会話の妨げとなる。 そのため、エコー除去装置(Acoustic Echo Canceler, AEC)の搭載が不可欠とな る(東工大にあるテレビ会議システムにもちゃんとAECが備わっている)。

さて、今後どのようなテレビ会議システムが現れるだろうか。 先日、Geneva (Switzerland) で開催された ITU TELECOM WORLD 2003 においてもテレビ会議システムのセクションは大きな反響を呼んでいたようだ (日経新聞)。 ブロードバンドを用いて効率的にデータの送受信を行なうことで、海を越えた映 像の高速な配信が可能になってきている。 今後も当然、画像技術の向上が期待される。 それはおいておいて、音声の品質に関して言うとやはり、より臨場感溢れるものが求められ るであろう。 そこで、ステレオ(あるいはマルチチャネル)システムが脚光を浴びるであろうと 予想される(欧米のベンチャー企業や日本の幾つかの企業がステレオ化 による次世代テレビ会議システムでの成功を狙っている)。
しかしながら、ステレオシステムを実現する際、幾つかの問題点が出てくる:

(a) 複数のAECが必要となり、莫大な計算コストに悩まされる

(b) 話者が変わった際などに、エコー再発の危険性が生じる (二つのマイクに入 る声の強い相関が原因)

(c) 騒音環境下での使用(エアコンの騒音などは、人間はあまり気にしないが測っ てみると結構高レベルな雑音らしい)



(c)はステレオに限った問題ではないが、とくかくこれらの問題点を解決しない ことには快適なステレオシステムの実現が困難となるのだ。 我々は、これら全ての問題を大幅に改善した方法を既に提案しているので是非参 考にして頂きたい。

  1. Masahiro Yukawa and Isao Yamada, "Adaptive Parallel Subgradient Projection Techniques with Input Sliding Technique for Stereophonic Acoustic Echo Cancellation," in Proc. of the Eighth International Workshop Acoustic Echo and Noise Control, pp.55-58, Sept. 2003, in Kyoto, Japan.


  2. Masahiro Yukawa and Isao Yamada, "Efficient Adaptive Stereo Echo Canceling Schemes Based on Simultaneous Use of Multiple State Data," in IEICE Trans. Fundamentals, Vol.E87-A, No.8, pp.1949--1957, Aug. 2004.



参考資料

[1]http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030127106.html,

[2]http://www.keyman.or.jp/search/30000057_1.html,

[3]http://www.keyman.or.jp/search/30000311_1.html



2003年12月11日 湯川正裕

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